「京や」は、日航に機内食も入れている、ハワイで唯一のまともな

「京や」は、日航に機内食も入れている、ハワイで唯一のまともな日本食を食べさせる店である。まだドルが自由にならない頃だったから、日航のクルーたちは、彼がいったいどんな手段でドそのほかに、これは彼の仕事とは関係ないが、スチュワーデスに愛人がいる、というような噂もあり、私なんか真相はどうなんだろうと、好奇心でウズウズしていたわけだ。誘われて断わるどころか、大喜びである。ルだ。けれども場所は一等地で、夕方ともなれば、サンセある夕陽が、水平線の彼方かなたにドいつもなら朝ホノルルに着くと夕方までは寝るのに、その日は眠いのを我慢して、私は昼になると、ワイキキの砂浜に面した彼のホテル、プリンセス・カイユラユへ出かけた。ワイキキの一級ホテルといえば、なんといっても、ひときわ自につくアラビア風建築、フラミンゴ・ピンクのロイヤル・ヒルトンだが、このホテルはそれに比べると、中級程度の地味なホテトクルーズの影絵っき、小山ほどもンと沈んでいくのが見られる。フロントで名乗ると、飛行機で会った小佐野の秘書が出てきた。社長はあちらでお待ちになっていらっしゃいますと、私を砂浜から続いた芝生の上にあるレストランに案内する。パンや肉の匂いがたちこめる、アメカ人観光客に占められたテーブルのひとつに、小佐野がアロハを着こんですわっていた。やり手の実業家と、アロハの取合わせは、なんともチグハグに4v,』見えたが、その違和感が「郷に入りては郷に従え」とでも言っているように思えたのは、考えすぎだったろうか。めん〈ぃ。デlトというからには二人だけ、と思っていた私は、これには面食らった。しかも、彼は食事の閉じゅう、私にはほとんど話しかけず、秘書に仕事の指示ばかりしている。ーーなんだ、これは:::。よほど忙しいのか、それとも若い娘との話題か見つからないのか。でなかったら、呼んだものの、急に気が乗らなくて、ぶっきらぼうになったのか。なにしろ相手は怪物である。その心中は私なんかには想像もつかない。どうもあまり気に入られなかったらしいと思って、私はちょっぴりガカリした。これくらいの大物になると、私のような若い娘では物足りないんだろう。ところが、食事が終わって「どうもご馳走さまでした」と礼を一吉う私に、あんなにぶっきらぼうだった彼が、帰りの便名を尋ねたのである。それに合わせて帰るから、その夜、東京でデートしよう、と一吉田うのだ。ぶっちょうづらニコリともせず、どちらかというと仏頂面で仕事の話ばかりしていたのに、変わった男だな、と私は驚いた。